利用者さんと子どもたちに じっくりと寄り添える喜び
経験者採用
府中療育センター
勤務3年目
横浜創英短期大学 卒業

インタビュー目次
子育てとの両立を考え療育センターへ
経験者採用で入職し、府中療育センターで働いています。療育施設を希望した大きな理由は「子育て」でした。
東京都の看護師として採用後、長らく都立病院でがん病棟の患者さんの看護を経験し、新型コロナウイルス感染症専用医療施設での勤務を経て、急性期病院へ異動しました。部分休業を取得しながら働けていたものの、日々時間を問わず運び込まれる救急患者への対応に追われ、子育てとの両立に思い悩んでいたときに、相談していた方から府中療育センターのことを教えていただきました。感染症専用医療施設で働いていた時に重症心身障害者の方の看護に携わり、一生懸命生きようとする想いに応えれば元気になってくださることにやりがいを感じたこともあり、重症心身障害看護に挑戦する決意を固めました。
重症心身障害看護ならではの難しさと大きなやりがい
予想はしていましたが、急性期病院と療育センターでは仕事内容や働き方はずいぶんと異なります。看護師の基本的な業務である「採血」に関しても、重症心身障害を抱える方は通常より血管がかなり細いことが多く、難しさを感じます。また、一般の病院ではなかなか目にすることができない「こもり熱」も療育センターでは一般的に見られます。「こもり熱」とは体の放熱機能が働かなくなって体の中に熱がこもり、通常より体温が上がった状態のことです。38度近くまで体温が上がることもあるので、感染症などによる発熱と勘違いしないよう注意が必要です。そのほかにも、個別に対処を考えなくてはならないケースが多くあります。
そうした難しさを痛感するのと同時に、一生懸命生きている利用者さんに伴走し、穏やかに過ごしていただくお手伝いができるやりがいも強く感じています。利用者さんの異変を察知して身体的な辛さを取り除けた時は、利用者さんに寄り添えていると感じる瞬間の一つです。
また、利用者さんの中には亡くなられるまでセンターで過ごす方も多くいらっしゃいます。利用者さんはもちろんですが、最期の時をどう過ごすのかというご家族の思いに寄り添うことも私たちの重要な役割です。そのような時には、かつてがん病棟で働いた経験が生かされているように思います。
業務と子育ての両立を支えてくれる職場環境
現在は三交代制勤務で勤務しており、深夜勤の場合は小学生の子どもたちを寝かしつけてから出勤することもあります。夜勤があると体力的な辛さはありますが、平日に休むことができるので、子育てとの両立を考えると悪くないと感じています。
日勤の業務では、午前中は利用者さんに関する情報収集、朝の申し送り、オムツ交換などの日常生活補助、医療的ケア、水分補給などを行います。お昼の食事介助やおやつ・水分補給の介助が終わると、午後はご家族との面会準備を行なったり、車いすで移動可能な利用者さんと病棟の周囲をぐるりとお散歩したりもします。
この職場に来てからもっとも大きく変わったのは「働き方」かもしれません。日勤の日は子育て部分休暇(小学校第三学年までの子を養育するため、1日の勤務時間の一部を勤務しないことができる制度)を1時間取得し、16時15分ごろに退勤しています。子どもたちと過ごせる時間が長くなったため、毎日一緒にご飯を食べてお風呂に入り、学校の宿題を見てあげることもできています。
子どもが小学生になったこともあり、子育て部分休暇の取得を迷う気持ちもありましたが、同僚の皆さんに背中を押していただき取得することにしました。子どもの学校行事や急病の場合も、皆さんに支えていただき、休暇を取ることができています。看護師同士もあたたかい心遣いで助け合って働くことができる職場だと感じます。
府中療育センターの魅力は、重症心身障害に特化した看護に携われることと、子育てとの両立がしやすい職場環境です。利用者さんから「気持ちいい」「ありがとう」という言葉が返ってくるわけではありませんが、じっくりと向き合う中で、利用者さんを大切に思う気持ちが強くなり、健康でいてくださるだけで本当にうれしくなります。時間をかけて人と関わりながら仕事をしたい方にはぜひお勧めしたい職場です。
キャリア
看護短期大学卒業後、入都
東京都の看護師として、がん医療に強いことで知られている東京都立駒込病院で看護師としてのキャリアをスタート。がん病棟で患者さんとそのご家族に寄り添う看護を身に付けました。
コロナ禍により新型コロナウイルス感染症専用医療施設に異動
感染拡大によって、激増する新型コロナウイルス感染症患者に対応するため東京都が設置した、いわば「コロナ専用病院」で激動の日々を過ごしました。この施設はかつて「府中療育センター」だった建物を利用しており、私はこの時に初めて重症心身障害者の方と接しました。
都立急性期病院へ異動
コロナ禍が終息しつつある段階で隣接した急性期病院に異動。毎日のように急患対応を行いながら、2人の子どもを育てる生活に難しさを感じるように。
府中療育センターに転職
「コロナ専用病院」で経験した重症心身障害看護への関心と子育てと仕事の両立のために経験者採用に応募し、転職しました。
わたしのお気に入り
私のいちばんの“趣味”といえばやはり小学生の子どもたちと過ごすこと。学校の夏休みなどには一緒に山歩きをしたり、昆虫を追いかけたり、あるいはプールで遊んだり……。府中療育センターで働くようになって、子供たちと一緒に過ごす喜びをより多く味わえるようになったと思います。
私自身は温泉が好きなので、子どもが学校に行っている間に近くのいろいろな日帰り温泉に立ち寄り、リラックスしています。
