「動く」フレイル予防
1)筋肉量や体力を維持しよう(自宅でできる筋トレ等)
●家事をしながら かかとの上げ下げ(図2)
かかとをゆっくりと上げてゆっくりと下ろす動作をしてみましょう。これでふくらはぎの筋力を鍛えることができます。"やや筋肉が疲れた"と感じることを目安に回数を調整してください。1,2,3,4で上げ、1,2,3,4で下ろすようなゆっくりとしたペースで行い、10回から15回繰り返すと、筋肉がやや"疲れた"と感じるでしょう。

図2.かかとの上げ下げ
●同年代の人を追い越すつもりで 速歩き
普段の散歩に少しだけ意識して、速歩きする時間を加えてみましょう。同年代の人を追い越すつもりで速歩きを5分間以上続けます。速歩きと普通歩きを交互に行うインターバル歩行も効果的です。スピードが意識しにくい場合には、歩幅を少しだけ広くするよう意識してみましょう。
●いつでもどこでも 指先の曲げ伸ばし(図3)
指先を上手に動かしたり感じたりするために脳はたくさんの領域を使っています。逆に指先を積極的に動かすことは脳にも刺激を届けることに繋がります。指先から一つ一つの関節を順番に曲げるようにしっかりと握り、しっかりと伸ばすようにします。もし指が曲がりにくい場合には、曲がる範囲で良いので、しっかりと曲げ、しっかりと伸ばすことを意識してやってみましょう。

図3.指先の曲げ伸ばし
※図3 出典:健康長寿新ガイドラインシリーズ『生活体力を保つ新しい目安』監修/東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 発行/社会保険出版社
●食卓やデスクで 椅子の立ち座り
歩く力を維持するためには、ももの前の筋肉(大腿四頭筋)、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)の筋力が大事です。食事や仕事の合間に、椅子からゆっくりと立ちゆっくりと座ることを10回程度繰り返してみましょう。もし難しい場合には、何かに掴まって立ってみてください。筋力がついてくると、次第に掴まらなくても立てるようになります。
2)記録をつけてみよう
記録を取ると、予防の活動を習慣にしやすくなります(図4)。
いつ、どこで、誰と、何を、どれくらいと具体的に決めると、行動開始の後押しにもなります。無理に沢山やろうとするのではなく、自分のできる範囲でやろうと決めて、実際にやったことを確認していくことが活動継続の自信を高めます。

図4.介護予防・フレイル予防の記録表の例(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所より)
3)通いの場に参加してみよう
体力の維持向上も、友人や仲間と一緒に取り組むことで、楽しく続けやすくなります。住民同士で体操や趣味活動等を行う「通いの場」や運動教室、サロンなどが地域にはたくさんあります。積極的に参加してみましょう。
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このページ(予防のポイントその2「動く(体力)」、やってみよう!体力チェック!、「動く」フレイル予防)について
原稿作成:
大渕 修一((地独)東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム(介護予防研究) 研究部長)
参考文献:
1. 東京都健康長寿医療センター研究所.体力・身体活動.健康長寿新ガイドライン エビデンスブック.東京: 社会保険出版社. 2017; 14-27.
2. 新井武志ら. 地域在住高齢者の身体機能と高齢者筋力向上トレーニングによる身体機能改善効果との関係. 日老医誌 2008; 43: 781-788.
※図2 出典:健康長寿新ガイドラインシリーズ『生活体力を保つ新しい目安』監修/東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 発行/社会保険出版社