みんなで取り組むことの効果
みんなで「動く」
近所づきあいが活発な個人・地域ほど、個人の身体活動も活発であるかどうか、その関連を検証した調査があり、
●近所づきあいが活発な人ほど身体活動量(身体を動かしている量)が高い(図3左)
●近所づきあいが活発な人の割合が地区内で1%増えると、自身の近所づきあいが活発か否かに関わらず、1週間当たりの中強度身体活動量(「ややきつい」と感じるくらいの活動量)が約30分増える(図3右)
という結果が出ました。
近所づきあいや社会活動においても、自分自身が活発に実践していれば、それだけ身体活動の機会や量が増えます。また、近所づきあいや社会活動が活発な地域に住んでいれば、やはり自身の活動の機会や量が増えることにつながります。交流や社会活動が活発な地域を作っていくことは、その地域みんなの健康づくりにも貢献するかもしれません。

図3.個人と地域の近所づきあいの程度と身体活動量
みんなで「食べる」
それでは、「食べる」ことについてはどうでしょうか。
図4は、家族形態別に、食事を誰かと食べている(共食)か、ひとりで食べている(孤食)か、とフレイルとの関連をそれぞれ示したものです。男性では、同居か独居かに関わらず、孤食の方がフレイルに該当する人が多いことがわかりました。 また、 女性においても、同居の方のみですが、孤食がフレイルのなりやすさと関係しているという結果が出ました。
つまり、誰かと一緒に食事をすることは、人と「つながる」ことにもなり、フレイルを予防するためには大切なことであると言えます。

図4.家族形態別にみた孤食とフレイルとの関連
まとめ
運動でも食事でも、1人で実践するよりも、誰かと実践するとさらに効果的であることがわかりました。健康づくりは、"大事なのはわかるけど、ひとりではなかなか続かない"もの。身近な人と一緒に取り組むことで、継続もしやすくなるでしょう(図5)。定期的に開催されている運動教室やサロン、自身の趣味の集まりなどがあれば、ぜひ積極的に参加してみましょう。
このサイトでは、都内区市町村が行っている運動教室やサロン等を紹介しています。お住まいの地域で興味のあるものはないか、ぜひご参考ください。
-
サイト内リンク

図5.個人での取組と地域ぐるみでの取組
このページ(みんなで取り組むことの大切さ、みんなで取り組むことの効果)について
原稿作成:
清野 諭((地独)東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム(ヘルシーエイジングと地域保健研究))
参考文献:
1. Seino S, et al. Individual- and community-level neighbor relationships and physical activity among older Japanese adults living in a metropolitan area: A cross-sectional multilevel analysis. Int J Behav Nutr Phys Act 2018; 15(1): 46.
2. Seino S, et al. Exercise arrangement is associated with physical and mental health in older adults. Med Sci Sports Exerc 2019; 51(6): 1146-1153.
3. 新開省二ら. OA2. 大都市部高齢者における孤食とフレイルおよび精神的健康との関連 - 家族形態 (家族と同居または独居) 別の検討 -.老年社会科学2018; 40(2): 163-163.