社会福祉法人善光会

インタビュイー写真

佐藤綾乃さん

特別養護老人ホーム<バタフライヒル細田>

介護WITHライフル射撃

特別養護老人ホーム<バタフライヒル細田>で正社員として働く佐藤綾乃さん。ライフル射撃競技に取り組むアスリートでもあり、国体をはじめ多くの大会に出場しています。

1日のタイムスケジュール

  • 0:00 介護の仕事 勤務開始
  • 9:30 勤務終了
  • 10:30 ライフル射撃の練習
インタビュー写真

<バタフライヒル細田>は、自宅療法が困難な方を長期的に支援する全室個室の特別養護老人ホーム。運営しているのは社会福祉法人善光会です。「社会において活動して得た利益は社会に還元しなければならない」という理念のもと、都内8か所に特別養護老人ホームやデイサービスを展開。介護ロボットなど最新のテクノロジーも取り入れています。

所在地:東京都葛飾区細田四丁目20-14
連絡先:03-5612-1717

URL:https://www.zenkoukai.jp/butterflyhill_hosoda/

インタビュー写真

小学生の頃から福祉に関わる仕事に就くのが夢だったという佐藤さん。そのきっかけの一つは、学校の授業の一環で介護施設を訪れたことでした。

佐藤さん

高齢者の方の昔の話を聞くのが楽しかったです。昔の遊びをする授業もあって、めんこを『こうやったらうまくひっくり返せるよ』と教えてもらったりして。施設の職員さんたちもすごく優しくて、『いつでも遊びに来ていいよ』とオープンな感じだったので、じゃあ遊びに行こう!と、頻繁に通っていました

もう一つ、佐藤さんにとって福祉が身近にあったこと。弟さんに障害があったことから、同じように障害や病気がある子供たちと接する機会や、支える大人たちとたくさん関わってきました。

佐藤さん

福祉の仕事はすごくやりがいのある仕事だと子供の頃から感じていて、将来は福祉に関わる仕事がしたいと思うようになりました

大学卒業後、子供の頃からの夢を叶えて、正社員として善光会に入社し、<バタフライヒル細田>で働き始めます。

佐藤さん

いろいろな施設を見る中で、善光会は最先端の機械がかなり揃っている印象を受けました。子供の頃に見た介護の現場では、例えば記録は手書きなど人の手で行われることが多くてバタバタしていました。テクノロジーが入ることで職員の負担が軽減されて、お客様自身も負担が少なく生活できることは素晴らしいと思いました

実際に<バタフライヒル細田>では、お客様のベッドでの動きを感知して状態を可視化するシステムなどを導入していて、職員の負担軽減につながっているそうです。

インタビュー写真 善光会で導入している介護用のコミュニケーションロボット。
レクリエーションなどに活用
インタビュー写真 お客様の食事のサポートをする佐藤さん

現在、働いて4年目になる佐藤さん。通常のお客様のサポートに加えて、ユニットのリーダーも務めています。ユニットで働く人のシフトの調整、お客様のより良い生活のため意見を汲んで検討するなど、より広い視野と自分の考えをもって仕事に取り組むことが大切になったと感じています。

インタビュー写真 タブレットを使い、シフト管理などリーダー業務を行う

ライフル射撃では国体にも10回出場

子供の頃からの夢である仕事に邁進する佐藤さんですが、もう一つ大切にしていることがあります。それは、ライフル射撃。ライフル射撃は、火薬を使うライフル銃や空気で押し出すエアライフル銃、弾の出ないレーザー銃などを使用して固定された的を狙い撃ち、得点を競うスポーツです。佐藤さんは、中学生のときに所属していたハンドボール部の顧問の先生が地元のライフル射撃協会の監督と知り合いだったことから、講習会に参加しました。

佐藤さん

単純におもしろそうだなと思いました。国体があるんだけれど、競技人口が少ないからやってみませんかと言われて、本格的にやってみることにしました

ライフル射撃は必要な道具や練習環境などハードルもあるスポーツですが、家族は「やりたいことをやってみなさい」と応援してくれます。中学3年生のときには初めて国体に出ることができました。

佐藤さん

初めて全国の選手の方たちを目にしたのですが、すごくかっこいい装備の方がいたり、みなさん気にかけていろいろ教えてくれたりして、刺激を受けて新しい仲間もできました

高校、大学でもライフル射撃を続け、現在まで国体には10回ほど出場しています。

佐藤さん

魅力はやっぱり、ど真ん中10点が獲れたときの爽快感です

インタビュー写真 現在、佐藤さんが取り組んでいるのはエアライフル。10m先の標的を撃ち、60発の合計点で競う

会社のアスリート支援制度と同僚の応援が支えに

社会人になってからも、大会や合宿などで全国に遠征に出ている佐藤さん。遠征は数日間にわたることが多いため、日程が決まったらすぐに一緒に働く方々に共有して、シフトを相談します。

佐藤さん

『がんばってね』と声をかけていただいたり、ライフル射撃の活動を受け入れてくださるのがありがたいですね。善光会ではアスリート支援制度があって、遠征を“研修”として扱ってくれるのも助かっています。リーダーの業務もあるので、遠征に行く前にできることをしっかり終わらせられるようにしています

日常的には、夜勤明けや休日を利用して週に1回程度、区のスポーツセンターにある射撃場で練習しています。ライフル銃は約3~5㎏の重さで、着用するジャケットも重く硬いもの。競技では同じ姿勢を保ちながら60発撃つため、筋力や体幹、持久力が必要です。そのため、マシントレーニングもメニューを決めて取り組んでいます。

インタビュー写真 ライフルは厳しいルールに従って管理を徹底、競技や練習の際は自分に合うように調整する インタビュー写真 佐藤さん愛用のジャケットとパンツ

介護とライフル射撃。一見遠く離れたことに思えますが、佐藤さんはどう感じているのでしょうか。それぞれへの影響や共通点はありますか?

佐藤さん

一番は体力面です。大学まではトレーニングの時間が今よりもたくさんありましたが、働き始めてからは時間が減りました。ただ、介護は肉体労働の部分もあり、働くことによっておのずと筋力や持久力、体幹がついているように思います。もう一つは集中力です。ライフル射撃はずっと集中していなければいけないスポーツ。介護の現場でも、お客様一人ひとりに合ったサポートを考えたり、同時に起こるいろいろなことに対応したり、深く集中することが必要なところは、つながっていると思います

介護もライフル射撃もあきらめずに続けられることが嬉しい

あらためて佐藤さんに介護の仕事のやりがいを尋ねると、嬉しかったエピソードを話してくださいました。

佐藤さん

あるお客様は、入所したときからオムツだったのですが、筋力もあり手すりがあればしっかり立つことができる。そこで『トイレ行ってみる?』と連れて行ってみたら、トイレでできたんです。お客様も嬉しそうで、しばらく時間を決めてトイレに誘導していたら、ご自身でトイレに行きたいという感覚がわかるようになってきました。ご本人もすごく嬉しそうで、ユニットに笑顔が増えました

介護施設を利用する高齢者は、できなくなってしまったことが増え、できる頃に戻りたい気持ちをもっている方が多いからこそ、少しでも“できる”に近づけることで喜んでもらえると達成感があると言います。

インタビュー写真 打ち解けた様子で会話を楽しむ佐藤さんとお客様
佐藤さん

介護を始めて4年。自分の技術はまだまだだなと思うので技術を向上させていきたいです。そして、リーダーとして教育をしなければいけない立場でもあるので、ただ言われたことをやるのではなく、なぜそのサポートが必要なのかもしっかり教えていけるようにがんばっていきたいと思います

ライフル射撃でも、後輩の育成に力を入れていきたいと佐藤さん。

佐藤さん

まずは、今までと変わらず全国大会を目指して一生懸命がんばっていきつつ、取り組む競技を増やしたい。具体的には、エアライフルだけでなく、学生時代にやっていた火薬のライフル銃も再挑戦したいです。私が別の競技にも取り組むことによって、後輩が出場できるし、いろいろな種目ができていろいろな知識があったほうが育成につながると思っています

最後に、佐藤さんにとって“介護WITH”な働き方の魅力とは?

佐藤さん

私の場合は、介護もやりたくて、ライフル射撃もやりたくて。自分がしたいことをしたいように、どちらもあきらめずに続けられていること自体が嬉しいです

インタビュー写真 お客様と関わることが楽しいので長く現場で働きたいと佐藤さん
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