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分身ロボット OriHime(オリヒメ)キービジュアル

分身ロボット OriHime(オリヒメ)

2026.03.06

ご本人・ご家族企業・法人機器等の紹介

INTRODUCTION

オリィ研究所では「コミュニケーションテクノロジーで人類の孤独を解消する」という理念を掲げ、自社で開発したロボットやサービスによって新たな社会参加の方法を実現しています。その一つが、今回ご紹介する分身ロボットOriHime(オリヒメ)。スマホやPCで遠隔操作ができるロボットで、重度障害者(※)をはじめさまざまな事情で自宅から出られない方がOriHimeを操作する“パイロット”として多数就労しています。

同研究所が運営する日本橋の「分身ロボットカフェDAWN ver.β」にて、広報の青木様と共に、パイロットとして活躍中のまやちゃん、ふーちゃん(ともに重度障害者)へインタビューを実施。当事者と企業、それぞれの視点からOriHimeを使った就労の実情と今後の展望について伺いました。

※補足:本事業における重度障害者の定義は「本事業のご紹介」に記載しているとおりですが、本記事内で使用する重度障害者という文言の定義とは異なっており、OriHimeのパイロットについてもこの限りではありません。

OriHimeは離れた場所にいても社会とつながれるロボット。

― 本日はよろしくお願いします。まずはOriHime誕生の経緯を教えてください。

青木様:創業者である吉藤は、子どもの頃体が弱く、思うように外出したり人と会ったりできない時期を経験し、そうした状況を解決するため、当初はAI研究に関心を持っていました。ところが、人生の大きな転機には常に「人との出会い」があったと気づき、技術そのものよりも、人と人との関係性を生み出すことの重要性を意識するようになりました。そうした経緯から考案されたのが分身ロボット「OriHime」です。OriHimeは人を置き換えるのではなく、離れた場所にいても社会とつながり、存在を感じ合えるための媒介として開発されました。

仕事を通じて、支援される側から必要とされる存在に。

― なるほど。OriHimeのパイロットとしてカフェで接客をされているまやちゃんは、働く中でそうした「つながり」を感じることはありますか?

まやちゃん:はい、あります。私は重度障害があり、外出や通勤を前提とした就職が難しいので、大学時代に就職活動が難航し、将来に不安を抱えていました。そんな時、SNSでOriHimeのパイロットとしての働き方を知り、勇気を出して応募したことから現在に至ります。ここで働いていると、自宅にいても多様な人と出会うことができ、つながりを感じます。また、お客様との雑談をきっかけに、これまで関心のなかった話題について調べてみることも増え、自身の世界も広がりました。以前は“支援される側”でいる時間が長かったのですが、自分の存在や役割が誰かに必要とされていると実感できることが、この仕事を続ける原動力になっています。

― 勤務内容を詳しく教えていただけますか?

まやちゃん:接客がメインです。テーブルでのオーダー対応やお客様との会話を中心に、受付業務や、空きテーブルへの案内も担当しています。お客様との会話を楽しみながら、その場の雰囲気づくりを担う役割も大きいです。このカフェは、海外からのお客様も多いので英語で接客することも少なくありません。趣味で勉強していた韓国語を使う機会もあります。それと、体調に合わせて勤務時間や頻度を調整できる点が、仕事の続けやすさにつながっています。

― 柔軟に勤怠の調整ができることはスタッフ側には大きな安心にもつながると思います。企業側としてはどのような配慮をされているのでしょうか?

青木様:パイロットに対する特別な配慮というわけではありませんが、スタッフ同士のコミュニケーションはテキストベースで、オンラインのチャットツール「Slack」を使っています。一般的なカフェでの勤務でも、突然の体調不良で欠勤することはありますよね。そうした場合に、本人からSlackのグループチャットで伝えると、代わりに働ける方が立候補してくださいます。パイロットは自宅から仕事ができるので「2時間だけ入れます」などの細かな調整もしやすいので、パイロット同士でフォローしあえる仕組みが自然と構築できている状況です。

― 状況に応じてパイロット同士で速やかにコミュニケーションを取り合えるのは良いですね。

青木様:チャットツールでは「こんなお客様が来てくれて、こんなうれしいことがあったよ」といった情報共有も多いです。逆に「こういう困ったことがあった」と相談して皆で解決策を探ることもありますし、チーム内の心理的安全性が担保されていると思います。

― すばらしいですね。ふーちゃんは、青木さんとともに広報を担当されていると伺いました。

ふーちゃん:はい、私も当初はパイロットとして勤務していて、2025年から広報の業務を担当しています。プレスリリースのドラフト制作や、CMSを使ったオウンドメディアの記事更新を行うほか、今日のように取材対応をすることもあります。

自身の発信を通じて障害者の働く場を増やしたい。

― 週にどれくらい勤務されていますか? また、ヘルパーは利用されていますか?

ふーちゃん:業務量によって変動しますが、基本的には平日毎日4時間程度働いています。現行の制度では働きながら重度訪問介護サービスのヘルパーさんを活用できません。当社の勤務では勤務時間中は重度障害者の就労支援制度、勤務時間外は重度訪問介護、と制度を切り替えながら働くことができますので、必要な時にはヘルパーさんに声を掛けてお願いをしています。

― お仕事を始めてからどのような変化がありましたか?

ふーちゃん:以前はヘルパーさんや病院の方としか関わりがありませんでしたが、この仕事を始めてからは、人とのつながりが増えたおかげで、社会とのつながりを感じられるようになりました。こうして私自身が世の中に発信していくことを通じて、障害のある人の働ける場所がもっと増えると良いなと考えています。

都庁展望室でもOriHimeが活躍中。

― 都庁展望室でもOriHimeが設置されていますよね。

青木様:そうですね。オリィ研究所では東京都から分身ロボットを活用した新たな働き方の支援事業を受託し、都庁南展望室でOriHimeを活用した案内業務を行っております。東京都に住んでいらっしゃる重度障害者の方等がパイロットを務めています。都庁南展望室を訪れた観光客の皆様への案内業務を行うほか、パイロットとして働くことになった経緯や皆様からいただいた質問などについて対応させていただいております。皆さん、遠隔でパイロットとコミュニケーションができることに対し、非常に高い関心を持ってくださっています。

― パイロットとして働きたいというニーズも高いと思います。何か必要なスキル等はありますか。

青木様:現在は通年で、分身ロボットカフェ DAWN ver.βでの勤務を希望するパイロットの採用活動を行っています。英語を得意とするパイロットも多数在籍していますが、そうしたスキルや資格よりも自己理解ができていることが大切です。お客様とだけでなく、パイロット同士のコミュニケーションも多いですから、たとえば、体調が悪い時にきちんと周りに状況を伝え、チームとして協力しサポートしあいながら解決へと導けるかといったことが求められます。

― こちらのカフェや都庁展望室の他にはどのような業務がありますか?

青木様:2025年にはデンマークに期間限定でカフェを出店しました。学校等での教育プログラムも実施しています。また、肩乗り型のOriHimeもスタートしました。リュックサックの肩の部分にOriHimeを固定して日本橋の観光案内を行っています。この辺りは海外からのお客様も多いので、老舗の名店をご紹介したり、神社にお参りする際のマナーなどをご案内したりなど、好評をいただいています。今後は地方在住のパイロットがその地方のガイドツアーを行うことも構想中です。

― OriHimeの活躍の場が広がるにつれて、重度障害者の就労の可能性も広がっていきそうです。本日はありがとうございました。

Info

都庁展望室で働くOriHime(オリヒメ)

都庁展望室にもOriHimeを設置しています。外出困難な重度障害のある方等が自宅から観光客等に対して案内業務を行っています。

期間:令和8年3月13日(金)まで

場所:東京都庁第一本庁舎45階 南展望室(新宿区西新宿2-8-1)
※南展望室へは1階から展望室専用エレベーターをご利用ください。

案内時間:平日13時~17時(展望室休室日・土日・祝日・年末年始除く)

https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shogai/event/orihime/index.html

展望室の休室日等については以下をご覧ください。

https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/tochousha/goannai/tenbou

 

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

営業時間:11:00-19:00

※貸し切り等で変更の場合あり。GoogleMapの店舗ページから最新の営業時間を確認可能。

定休日:木曜日(祝日の場合は営業いたします)

住所:東京都中央区日本橋本町3-8­-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3  (1F)

分身ロボットカフェ DAWN ver.β公式サイトはこちら

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