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【第1回】誰にでも働けるチャンスを。完全テレワークへの挑戦。

スタッフサービス・クラウドワーク様

2025.08.21

企業の雇用事例

INTRODUCTION

人材派遣事業を営むスタッフサービスグループにおいて、2015年に特例子会社であるスタッフサービス・ビジネスサポートの在宅就労事業として発足し、重度障害のある方々の就労を推進するために全国規模でのテレワーク雇用を実現してきたスタッフサービス・クラウドワーク。九州エリアでの8名の採用からはじまった同社は現在、600名を超える雇用を実現するまでに至っています。取り組みにあたっての想いや現場での工夫、そこで見えてきた障害者雇用の新しい形、今後の展望について、同社の歩みに深く関わってきた岡崎様、酒本様のお二人にインタビューします。

(今回は全4回連載の第1回目です)

資質や能力以外の理由で、採用を見送る。
このままではいけないと思ったんです。

― 本日はよろしくお願いします。まずは、貴社のこれまでの取り組みの歴史や、発足の背景についてお聞かせいただけますでしょうか。

酒本様:まずはスタッフサービスグループ(以下、グループ)の概要から簡単に説明します。私たちは、幅広い業種で人材派遣を行っている人材総合サービス会社になります。「オー人事、オー人事」というCMに覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。グループ全体の経営理念として「チャンスを。」という言葉を掲げており、様々な方々の人材活用を推進する使命を持って働いています。スタッフサービス・クラウドワーク(以下、当社)は、ビジョンにもある「誰もがより良い『働く』に出会える社会へ」を実現させていくための、完全テレワーク型の障害者雇用を推進する会社で、元々はスタッフサービス・ビジネスサポート(以下、ビジネスサポート社)という、当グループの通勤型の特例子会社の一つの部署から始まりました。

― はじめは、特例子会社の一部署からの出発だったのですね。

酒本様:はい、重い障害があっても、場所や時間にとらわれずに、多くの方たちが安心して働くことができる完全テレワーク型の雇用を実現できないかと考えたのが、そもそもの始まりでした。まず、私たちの働き方の概要を知って頂きたいので、こちらの動画をご覧いただけたらと思います。

― テレワーク型の障害者雇用を推進するに至って、どのような背景があったのでしょうか。

岡崎様:まず、2013年頃から障害者雇用の法定雇用率が段階的に上がることがわかってきたというのが、ひとつの大きな要因でした。スタッフサービスは人材派遣の会社ですから、業績目標に比例して必要な従業員数が増えていくという特徴があり、中期経営計画においても重要な指標となります。何か新たな障害者雇用の形を作らないといけないという課題がありました。私は当時、ビジネスサポート社の人事を務めていたわけですが、新たな方を雇用するために事務所を立ち上げて、通勤できる方だけを採用していくという手法だけでは限界を感じ始めていたのです。私自身、面接をしていると、「すごくやる気があるな」「この人いいな」と思う人に出会います。そういった方には、スキルもある。けれど通勤面で、事務所の駐車場の数に限りがあったり、施設のトイレが利用できなかったり、職場環境が原因で採用を見送ることも多かった。その人の資質や能力とは別のところで選考しなくてはならないということに、何かすごく矛盾を感じていたんですね。

― 通勤や職場環境が理由で、採用できない方も多くいらっしゃったのですね。

岡崎様:はい。そこで考えたのが「家にいながら働けるようにしたらいいじゃないか」ということでした。通勤距離の問題で遠方に住む人が採用できないということもありましたし、そういった距離の問題も含めて解決するには、やっぱり自宅で働けることが一番で、在宅勤務に挑戦してみようと。

― それが、スタッフサービス・クラウドワークの原点となった。

岡崎様:少し経緯を説明すると、まず2015年9月にビジネスサポート社の中に在宅勤務の部門を立ち上げて、はじめは九州エリアで採用活動をすることになりました。当時は求人を出せばたくさんの方々から応募が来るだろうと予想したのですが、これがもう、全然来なくて(笑)。その頃はまだ、コロナ禍の前で、テレワークが世の中に浸透していなかったので、支援者の方々にも、障害のある当事者の方々にも、イメージが沸かなかったのだと思います。いわゆる内職との区別もつかず、「家にいながら本当に仕事ができるんですか?どうやって仕事をしてもらうんですか?」という声も多くありました。

スタッフサービス・クラウドワーク様の画像1枚目

実際に彼らが働く姿が、何よりの理解を生んでくれました。

― 今では当たり前になってきた働き方も、当時はまだまだ限られたものでしたね。

岡崎様:今でこそテレワークも一般的になってきましたが、当時はハローワークの職員の方もご自身がテレワーク勤務をしたことがなかった。「新しい形の障害者就労」だと伝えたのですが、内職の窓口コーナーを案内されてしまうこともありました。それでも中には、我々の考えに共感してくれて、ハローワークの窓口にも来られなかったような重度障害の方とか、通勤できない方々に声をかけてくれる人が出てきました。そういった方々のおかげもあり、2016年1月に初めて1期生という形で8名の方が採用になったのです。

― 記念すべき1期生ですね。そこからは、順調に取り組みは拡大していったのでしょうか。

岡崎様:その8名の社員の力がとても大きかったと思います。「テレワークでちゃんと働けるのか?」という疑問を払拭するためには、彼らの働く姿をリアルに見せることが一番だと思っていました。自宅でちゃんとパソコンを開いて、オンラインで職場と繋いで会議をして、という様子を、ハローワークや関係者の方々にも見てもらうことができれば、「あ、本当にこれは就労だ」と思ってもらえるはずだと。実際、その8名に「ハローワークの人たちを自宅に連れて行って、皆さんの働いている様子を見てもらってもいい?」と聞いたら、全員が快く受け入れてくれたんですね。家に他人が入ってくることを嫌がる方もいるだろうと思いましたが、1期生の8人は誰も反対せず、むしろ「自分たちが働いている姿を見てもらいたい」という気持ちが強かったようです。 「ちゃんと就労できているんだぞ」という姿を見てもらいたかったのでしょうね。私自身も説明してきましたが、彼らが「私たちはこうやって働いて、仲間と繋がっています。見ていてください。こんな仕事もしています」と自ら語ってくれたのが、大きな理解につながったと感じています。

― 就労の機会に恵まれなかった方々が、この機会を得て自己肯定感を高められた。

岡崎様:おっしゃる通りです。 やはり、これまで働きたくても働けなかった気持ちが強かったメンバーなので、自分たちが存在し、ちゃんと働けていることの意義を彼ら自身が示してくれたことが、大きな理解を得られた要因だと感じています。

― 実際に働いているところを見ていただくことで、ハローワークや企業の不安を払拭していけたのですね。

岡崎様:だんだんと安定的に求人が採れるようになり、その翌年には、近畿、東北、関東と、一年間で同じような働き方を待っている方々のために3つの拠点を一気に立ち上げていくことになりました。はじめのうちは、どこに行っても同じような反応が返ってくるのですが、やっぱり九州の実績が大きかった。彼らは定着率もよく、仕事も安定的に任せることができたので、「重度障害者が自宅で働く」ということにまつわる様々なバイアスを、彼ら自身で破ってくれたのですね。組織もだんだん大きくなっていって、2020年4月にはビジネスサポート社の一部門から分社独立することになりました。

― 独立後も、明確な目的のもと活動を続けたから、現在の「完全テレワーク型」が実現されたということなのでしょうか。

岡崎様:大事なのは、何のために分社化するのかということでした。「在宅事業を推進する会社だ」ということを明確にしたかった。就職を考える人が、「ひょっとしたら通勤があるんじゃないか、異動になったりするんじゃないか」などと思わずに、安心して家で働けること。そのために分社化したわけですから。「クラウドワークさんは、在宅の会社ですよね」というブランドも皆さんに浸透させやすくなりました。2022年に北海道進出、2024年には東京、神奈川にも事業所を設立するようなかたちで、現在は例えば五島列島や屋久島、宮古島にも社員がいます。テレワーク型の雇用を続ける中で、「距離に関係なく、神奈川に本社がある会社だとしても充分に全国の社員が安定して働けるんだ」という実績や信頼を作ってこられたのではないかなと思っています。近年では、厚生労働大臣や総務大臣から、テレワークを推進する組織や事業モデルとして表彰もいただきました。

(第2回に続きます。次回は「高い雇用定着率を支える取り組み」についてお伺いします)

岡崎 正洋さんプロフィール画像

Profile岡崎 正洋 / スタッフサービス・クラウドワーク シニアアドバイザー

新卒から人事系を中心に経験を積み、2003年5月スタッフサービスグループの人事部門にキャリア入社。人事労務担当を務める。2012年からスタッフサービスグループの特例子会社であるスタッフサービス・ビジネスサポートに着任。2015年9月にスタッフ3名で在宅就労事業(現在のスタッフサービス・クラウドワーク)の立ち上げを担当。以降、九州、近畿、関東、東北、東海エリアと拠点設立を歴任。2023年8月に定年退職後、同社シニアアドバイザーに着任。

酒本 速男さんプロフィール画像

Profile酒本 速男 / スタッフサービス・クラウドワーク エリア統括部 ゼネラルマネージャー

2004年にスタッフサービスに入社。医療介護領域のメディカル事業本部にて、人材サービスの営業に携わる。2020年より、スタッフサービス・クラウドワークに異動し、北海道・東北・関東のエリア責任者を務める。テレワーク活用による障害者雇用の推進と事業拡大に従事。