障害者虐待発見チェックリスト
虐待していても本人にはその自覚のない場合や虐待されていても障害者自らSOSを訴えないことがよくありますので、小さな兆候を見逃さないことが大切です。複数の項目に当てはまる場合は疑いがそれだけ濃いと判断できます。これらはあくまで例示なので、完全に当てはまらなくても虐待がないと即断すべきではありません。類似の「サイン」にも注意深く目を向ける必要があります。
身体的虐待のサイン
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身体に小さな傷が頻繁にみられる
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太ももの内側や上腕部の内側、背中などに傷やみみずばれがみられる
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回復状態がさまざまに違う傷、あざがある
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頭、顔、頭皮などに傷がある
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お尻、手のひら、背中などに火傷や火傷の跡がある
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急におびえたり、こわがったりする
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「こわい」「嫌だ」と施設や職場へ行きたがらない
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傷やあざの説明のつじつまが合わない
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手をあげると、頭をかばうような格好をする
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おびえた表情をよくする、急に不安がる、震える
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自分で頭をたたく、突然泣き出すことがよくある
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医師や保健、福祉の担当者に相談するのを躊躇する
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医師や保健、福祉の担当者に話す内容が変化し、つじつまが合わない

性的虐待のサイン
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不自然な歩き方をする、座位を保つことが困難になる
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肛門や性器からの出血、傷がみられる
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性器の痛み、かゆみを訴える
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急におびえたり、こわがったりする
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周囲の人の体をさわるようになる
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卑猥な言葉を発するようになる
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ひと目を避けたがる、一人で部屋にいたがるようになる
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医師や保健、福祉の担当者に相談するのを躊躇する
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眠れない、不規則な睡眠、夢にうなされる
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性器を自分でよくいじるようになる

心理的虐待のサイン
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かきむしり、かみつきなど、攻撃的な態度がみられる
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不規則な睡眠、夢にうなされる、眠ることへの恐怖、過度の睡眠などがみられる
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身体を萎縮させる
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おびえる、わめく、泣く、叫ぶなどパニック症状を起こす
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食欲の変化が激しい、摂食障害(過食、拒食)がみられる
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自傷行為がみられる
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無力感、あきらめ、なげやりな様子になる、顔の表情がなくなる
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体重が不自然に増えたり、減ったりする

放棄・放置のサイン
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身体から異臭、汚れがひどい髪、爪が伸びて汚い、皮膚の潰瘍
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部屋から異臭がする、極度に乱雑、ベタベタした感じ、ゴミを放置している
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ずっと同じ服を着ている、汚れたままのシーツ、濡れたままの下着
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体重が増えない、お菓子しか食べていない、よそではガツガツ食べる
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過度に空腹を訴える、栄養失調が見て取れる
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病気やけがをしても家族が受診を拒否、受診を勧めても行った気配がない
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学校や職場に出てこない
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支援者に会いたがらない、話したがらない

経済的虐待のサイン
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働いて賃金を得ているのに貧しい身なりでお金を使っている様子がみられない
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日常生活に必要な金銭を渡されていない
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年金や賃金がどう管理されているのか本人が知らない
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サービスの利用料や生活費の支払いができない
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資産の保有状況と生活状況との落差が激しい
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親が本人の年金を管理し遊興費や生活費に使っているように思える
※「障害者虐待防止マニュアル」(NPO法人PandA-J)を参考に作成

【注】セルフネグレクト(自己による放任)について
NPO法人PandA-Jの「障害者虐待防止マニュアル」のチェックリストには以下のとおり「セルフネグレクトのサイン」が挙げられています。セルフネグレクト(自己による放任)については、障害者虐待防止法に明確な規定がありませんが、このようなサインが認められれば、支援が必要な状態である可能性が高いので、区市町村の障害者の福祉に関する事務を所管している部局等は、相談支援事業所等の関係機関と連携して対応をする必要があります。
【セルフネグレクトのサイン】
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昼間でも雨戸が閉まっている
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電気、ガス、水道が止められていたり、新聞、テレビの受信料、家賃の支払いが滞っている
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ゴミが部屋の周囲に散乱している、部屋から異臭がする
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郵便物がたまったまま放置されている
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野良猫のたまり場になっている
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近所の人や行政が相談に乗ろうとしても「いいよ、いいよ」「放っておいてほしい」と遠慮し、あきらめの態度がみられる
