児童心理司になろうと思ったきっかけは何ですか? 私は中学生の時に心理学という学問を知り、その面白さに惹かれて仕事にしたいと思うようになりました。しかし当時の私は研究者やスクールカウンセラーなど、ごく一部の職しか知らず、「心理の仕事」というものは漠然としたイメージしか持っていませんでした。児童心理司の仕事も配属されるまでほとんど把握していませんでしたが、実務の中でこの仕事の難しさと、それを上回る奥深さややりがいを感じており、今では子どもや家族にとって、より役に立つ児童心理司になりたいと強く思っています。 児童心理司として働いてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。 心理司として経験の浅い頃、先輩の担当していたケースを引き継ぐことになりました。そのケースは何度も児童相談所の関与がありつつも、子ども本人の意思もあり、家庭での生活を続けていました。しかしそのうちに保護者からの強い叱責体罰があり、一時保護の後、児童養護施設での生活となりました。その子は自分の思いを言葉にすることが苦手で、特に慣れない私との面接では黙ってしまうことが多く、私はその子の表出を待つような関わりが多くなっていました。その後も度々面接をしていたのですが、私自身の異動が決まり、担当が変わることになりました。その話をした後、その子からもらった手紙には「なかなか言えないのを待っててくれてうれしかった」と書かれていました。それまで私自身あまり役に立てている実感はなかったのですが、もしかしたらその子にとっては気持ちを尊重されるという体験になっていたのかもしれないと思えるようになりました。 これから東京都の児童相談所で児童心理司として働きたいと考えている方に向けて、メッセージをお願いします。 児童相談所では虐待対応以外にも非行や障害など様々な相談を受けています。児童心理司はそのそれぞれに対して適切なアセスメントとケア、コンサルテーションが求められます。また、心理学自体がまだ若く、日々新たな知見や技法が生まれているまさに日進月歩の学問でもあります。そのため多様な領域に関心を持ち、弛まぬ研鑽を積むことが必要です。児童相談所は子どもや家族の人生に大きな影響を与えることも多く、責任の重い仕事でありますが、とてもやりがいのある仕事でもあります。職場にはたくさんの仲間がいて、日々支え合い、高め合いながら働いています。皆さんとも仲間として一緒に働けることを楽しみにしています。
一日のスケジュール 9:00 始業 メールチェック等事務作業 10:00 愛の手帳(療育手帳)判定 12:00 昼休み 13:00 出張 一時保護所で担当児童と面接 16:00 子どもグループ活動 19:00 心理所見作成等事務作業後、 終業